ヴィクトリア朝(1837-1901)のイギリスは、産業革命により急速に都市化が進む一方で、失われていく自然に対する郷愁やあこがれが生じ、功利主義に対する反動が起こった時代でした。このような時代背景から、芸術家たちは現実から目をそらし、妖精の主題を選ぶようになりました。妖精のルーツは、森や水辺に息づく自然の精霊を敬う古い民間信仰にあります。イギリスには妖精にまつわる豊かな伝承の歴史があり、シェイクスピアをはじめとする多くの文学や演劇の中に生き続けてきました。このような妖精は芸術家にとっても親しい存在であり、こぞって夢幻的な情景を描くようになったのです。また19世紀後半に開発されたカラー印刷技術は、妖精画に書物という新たな舞台を与え、美しい色彩の挿絵が描かれるようになりました。
この展覧会では、妖精が大ブームであったヴィクトリア朝に活躍した画家による油彩や水彩・約80点、そして挿絵入りの貴重な初版本・約40点を紹介します。とりわけ絵画の半数はイギリスの個人コレクターが所蔵するもので、日本初公開となります。
めまぐるしいほどに技術革新が進行している21世紀に舞い戻った妖精たちは、幻想の世界へわたしたちを誘い、安らぎを求めるその心をさらに魅了するにちがいありません。
会期
2003.9.13 [土] - 11.3 [月]
休館日
月曜日(ただし9月15日、10月13日、11月3日は開館)、 9月16日(火)、9月24日(水)、10月14日(火)
開館時間
10:00~17:30 (入場は閉館の30分前まで)
観覧料
一般1000円(800円)、大高生800円(640円)
※( )内は20名以上の団体料金。
※中学生以下と65歳以上、障害者手帳をお持ちの方(付き添い1名を含む)はいずれも無料です。展覧会入場時に確認いたしますので
・65歳以上の方は、年齢を確認できるもの(運転免許証、健康保険証等)をご持参ください。
・障害者手帳をお持ちの方は、手帳をご持参ください。
主催
埼玉県立近代美術館、読売新聞東京本社、美術館連絡協議会
協賛
花王株式会社
協力
JR東日本大宮支社、全日空